「佐久間さん!!」


篠山くんが両手を自由にして、それから、花乃の肩にふれた。


驚いた花乃が顔をあげて、予想よりもちかかったのかな、ふたりして照れている。


「さく……花乃さん、すきです」

「っ!?」

「付き合ってください」


さっきまでの勢いはどうしたの? って驚いてしまうほど、語尾にびっくりマークが見当たらない。


焦ったふうでも、自信がないようでもなく。


まっすぐと、凛と、しゃんと、篠山くんが言った。


「……はいっ!」


ふわっ。花が咲いたみたいに、花乃がやわらかく笑む。