大きく息を吸う音が聞こえて、だれの? と顔を上げた。


自信がなくなると、顔を逸らしてしまう。このくせやめたいな……。


「紗奈ちゃん!!!」


大声にまず、びっくり。


「っ、んえ!?」


花乃が背伸びをして、がっと手を伸ばして。


「ど、どしたの──?」


わたしの頭を撫でた。しきりにしきりに撫でている。わしゃわしゃわしゃ。


わんこを可愛がるときみたい……いや、わたしにはわんちゃんみたいな可愛らしさも、愛らしさもないけど。


「紗奈ちゃんがはっきりと言ってくれたから……。うれしくなっちゃって、つい」


あ……。橘がすきだって相談するまでは、うじうじしてたもんな。申し訳ない。


──やっと変わってきたんだなあ、わたし。