「え、おれたちもいっしょにいていいの?」

「うん、むしろいてくれたらうれしい」


橘が説明してくれて、篠山くんが目を見開いた。


わたしからも、来てほしいって言いたい。言う。口を開いた途端、くい、と腕をひかれた。


その方向を見ると、


「花乃、どうしたの?」


自信なさげに視線をさまよわせている、花乃が。


「えっと、その……。顔に出しちゃってたかな。いっしょに行きたいって」


……花乃ははっきりとは言わなかったけれど、ふたりきりへの配慮をしようとしてくれている、ということだと思った。


小声で、わたしにだけ聞いたあたりが花乃らしい。


気をつかわせてしまっているのは、たぶんわたしのほう。思いながら、同じように小声で返す。


「わたしがいっしょにまわりたくて、しかたなかったんだ。──花乃も、おなじだった?」