「親父、死んだんだ…―」
夜風になびく、あたしと直人の濡れた髪。
本当だとはわかっていたのに、涙が出そうになる。
「…俺…辛くて…通夜には出れなかった…葬式にもでねーよ。ちゃんと親父にさよならしたから…」
「…え―」
「生まれ変わったら元気なヒーローになりたい。親父はそう言ってたからさ、生まれ変わったら元気なヒーローになれよって言った!……親父は、ガンだった。胃ガン。……親父は俺にとって元気なヒーローだったから大丈夫って昔から思ってた。なのに………」
ぽたぽたと…直人の手に直人の涙が落ちた。
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