「…何それ…あたしは、恭平がそんなヒトだと思ってなかった。こんな時、普通は大丈夫って聞くのに…自分のほうが大事なんだ…」
「ちょ、奈緒…」
「…みんな、そうだったから…お母さんをひき逃げしたトラックの運転手さんも、お父さんも……恭平もかあ…」
俺は頭の中の何かが切れた音がした。
俺は、気がついたら奈緒の胸ぐらをつかんでた。
奈緒の背中を、壁にぶつけて…、
「いたっ…」
「俺がいつ、自分の事考えたって?俺はお前のことちゃんと考えてる」
「考えてくれるヒトは…こんなことしないよ…あたし、怪我してんのにさ」
「…は「すとっぷー」」
そこに直人が入って来た。