「…逃げんなよ、奈緒。ちゃんと自分は奈緒だって言えよ、小さい頃から、好きだったって――」


「…それは違う…恭平を好きになったのは…今年の夏…小さい頃は直人だったって…前に言ったじゃん…」

「…俺…言う前から投げて後悔した恋…奈緒の事なんだ…ずっと言えなかったから…」



…そんなに直人は、あたしのことを思っていてくれたんだ。



「…だから…後悔してほしくない」


拳を握りながら言う理由はわからないけど、あたしは直人の説得のおかげで、言うことを決心した。