あたしには、わからない。


どうして人は恋をする生き物なのだろうか――

どうして人は死が待っているのだろうか――

どうして人は涙が出るのだろうか――

どうして……未来なんか期待するんだろうか……




「…恭平…」


恭平に《あたしは奈緒だよ》って言ったら…付き合えるだろうなって…

自惚れていた…――


「恭平―……っ」


声を殺して、泣いた。





その時、誰かが隣のブランコに乗った。

夕暮れに照らされた彼は、綺麗なような気がした。




「…言い過ぎたな――ごめん…」



彼は立ち上がり、あたしの頭を撫でる。

顔を見たら余計に…涙が出てきた。

夕暮れの影に映る彼の影が…あたしを抱き締めているように見えた。

実際は、頭を撫でている。それだけなのに…――