それからあたしと恭平は会うことなく、メールもしないようになった。
辛いけど…そんなキモチを打ち消すように、直人の言うとおり、バイトに励む。
《カランカラン…♪》
「いらっしゃいま…」
恭平と…ニット帽をかぶった女の子が…手をつないで、店に入ってきた。
「…直人ッ」
「直人くんなら今、更衣室だけど?」
「すみません、受付お願いします!トイレなんでッ」
直人、助けて、あたしまた、パニックになっちゃう前に。
その時、廊下でばったり、直人に会った。
「奈緒ーっ、何さぼって……」
「…恭平が…女の子…ニット帽かぶった女の子と…手…つないで…店に入ってきた…」
きっと、涙は出ていた。ぽたぽたと…腰のエプロンに涙が滲む。