「なぁ」




次の言葉は私が言わなきゃもう言わないって顔に書いてある




酷い、自分は例え話にした癖に

私には本当の話を求めるのか








「例えば、ね」





「真似かよ」





「いいじゃん、お互い様でしょ」






「はいはいどうぞ」


廉はじっと私の目を見つめて離さない


私はやっぱり恥ずかしくて
心臓の音が煩くて自分の声を掻き消してしまうんじゃないかって不安になるくらいで



少し俯きながら口を開いた





「例えば、ずっと昔から好きだった人がいて




その人は本当によくモテるから
色んな可愛い女の子からいつも告白されたりとかして

その度に浮かれてニヤニヤしてるような気持ち悪い奴で」




それは悪口だろ、って文句つけるあたり
廉も自惚れ屋だね








「でも、幼なじみだからって距離感無視してくっついてくるし


私は心臓の音がバレてないか不安で素っ気ない態度しか取れなくて

その度に意識してるのは私だけなんだって思い知らされて、













ずっと彼女作らなかったそいつに安心しきって油断してたせいで




いざ彼女が出来たって噂聞いたとき
ショックで死にそうになった」



「だから諦めようと思ったけど

こんな屋上急に連れてかれて

こんな例え話聞かされて








ほんっとになに考えてるのかさっぱりわからないけど



















でも私、


































やっぱり好きなんだ」