「俺さ、さっき美咲ちゃんに告られたんだよね」
私が期待してた言葉なんて出るはずもなく
目の前の幼なじみはその口で"美咲ちゃん"と言う
俯きがちだからその表情は見えないけど
今にも笑顔がこぼれそうな幸せな顔してるんだろうなきっと、
そりゃあそうだ
美咲ちゃんは私なんかと違って可愛いし
私が男でも彼女にしたいって思うよ
…なんて自分の傷に塩塗るな私
…あーあ、さすがに失恋かぁ
そんなんなら廉もっと早くに彼女作って欲しかったな
こんなダメージ深くなるまで彼女作らないでいたせいで
私ほんのちょっと期待しちゃってたじゃん…
「良かったね」
淡白で抑揚のない声
ほんと可愛くもないし可哀想
この状況が辛くて思わず下を向く
なんで
こんな事聞くためにわざわざ泣いてた私を屋上まで連れてきたってこと?
デリカシーなくて好きなのにすごく嫌い
好きだから嫌い
「、なぁそれほんとに思ってんの」
は?
ふいに顔を上げると
そこには不機嫌マックスの廉の顔が
「え…?なんで怒ってるの」
幸せ見せびらかしたかったんでしょらどうせ!
なのになんで怒んのよ
怒りたいのはこっちだってのに
泣きたいし怒りたいし早くこの場から逃げ去りたいのに…
「…いや、まて俺違うだろ…」
…は?なんか自分に暗示かけてるんだけどこの人
何急にどうしたの
すると、
ふっとひと息つくやいなや
1メートルくらいあった距離をぐんと縮められ
…ち、近いんですけど
その距離15センチあるかないか。
もう心拍数が爆上げで
今のこの状況がわからなくなるほど緊張が足先まで広がった
「今からするのはもしもの話だから」