あっという間に火曜日になった。
今週から図書室当番。

昼休み、急いでお弁当を掻き込む。

「忙しいねー」

奈穂が言う。

「まじなんで図書委員会にしたんだろー」

米を噛みながら答える。

「衛生委員会、何もすることないよ」
「ほんとそっちにすれば良かったわ」
「男子、アイツだけど」

若菜が教室の端に座ってる地味な男子をチラッと見る。

「別に男子が誰だっていいよ、仕事が楽なら」

そうこう話してるうちに、そろそろ時間だ。

図書室は1階の突き当たりにある。
あんなところに誰が行くか。

私はバタバタと弁当箱を包む。

「もう行くの?」
「うん、5分前行動大事だから」
「その言葉、似合わないよ」

私は奈穂の言葉を聞き流して適当にスマホだけ持って立ち上がる。

「じゃねー、行ってくるー」
「おー、いってらー」

二人はこの後長い長い化粧直しのようだ。

早めに行って手元に本を置いておこう。
麻木蓮と会話に困っても平気なように。

図書室の鍵を借りようと1階の事務室に来た。

「図書室の鍵ありますかー?」

中の事務員さんに聞く。
女の事務員さんがサラッと鍵のボードを見て「さっき麻木くん借りてったよ」と教えてくれた。

まじか、と思いながら「ありがとうございまーす」ととりあえず返事する。

早いな、あいつ。