ドンッ ずっとずっと遠くの方で、サイレンの音が聞こえた。 「小さい子は無事だ!!!でもにいちゃんが!!」 「うわああああああん」 「早く病院へ搬送するぞ!!早く!!」 ひどく体が重かった。 手も、足も、思うように動かない。 指先の感覚がどんどんなくなっていく。 こんなことなら勇気を出して、ひなちゃんと手を繋げばよかった。 この未練でまだ地上に、とどまることはできないだろうか。