さっきまで雨が降っていたのに、
いきなり空が晴れだした。
僕はさしていた折畳み傘を閉じて、
鞄の中に入れる。
プルルルル
『もしもし、
村上賢吾さんの携帯であってますか?』
け「はい」
『私は
東山病院の里中と申します。
奥様の意識が戻られました
今すぐ来れますか?』
その連絡を受けたあと、
僕は虹がかかっていることを無視して、
急な下り坂を走って下りた。
下り坂の右側には
3つの曲がり角があって、
3つ目の国道に繋がる道を曲がる。
その時だった。
愛梨と結婚してから
愛梨が入院してから、
5年間、
通い続けた道で、
僕は事故にあった。
いきなり、体に大きな衝撃が襲い、
走馬灯のように
愛梨との恋物語を思い出す。
あのとき、
出会っていなければ、
せめて、
結婚していなければ、
こんな運命からは抜け出せたかもしれない。