─────


始発の電車に乗り込み、一番隅っこに腰をおろす


平日の始発電車には出勤のサラリーマンの姿しかなかった



静かな車内で電車に揺られながら窓から見える景色を見つめる


少しずつ建物も減り景色も静かになっていく



遠くに見えていた青々しい山々が近くに見え始める


そんな景色の移り変りをただただ見つめていた



どれくらい外を眺めていただろう…

電車が止まり駅に着く

俺はゆっくりと立ち上がり電車から降りた



─ふわっ



あの日と同じ優しい香りが俺を包み込む