「春陽!!?」


立ち上がろうとする俺の腕をつかんだまま離そうとしない有恵


有恵…?


うつむいたまま表情も見えない有恵の手がかすかに震えているのを感じた


「有恵……?」

「……ごめん、理人
もう少しだけ…このままでいさせて……」



俺はどうすることも出来ずに有恵が落ち着くのを待った


しばらくして有恵が俺の腕をそっと離した


「理人、退院したらデートしよ!どっか遠くに行きたいな─…あ!あの海とかどう?」


笑いながら有恵がしゃべり続ける

「もうすぐ夏だよね─その前に梅雨だ─嫌だね」


「有恵…?」

「ごめん!今日はもう帰るね また明日」


そしてそのまま有恵は出ていった…



この時の有恵の気持ちを俺は知らずに………
有恵の言葉の本当の意味を……