……


窓から差し込む眩しい光。


朝…?



私はムクッと身体を起こす。



昨日は……



『絢斗くぅん』



そうだ、絢斗君の家に行って、そしたらお姉さんが来て…



その後…



私は頭を振る。



忘れよう。



あのまま秋人に連れて帰ってもらったのだろうか。



おんぶしてもらったあとは記憶がない。



…お礼、言わなきゃ。



私は自分の部屋から出る。



そして隣の部屋の扉をノックする。



コンコン



「どうぞ」



返事が返って来て扉を開ける。



「秋人…、昨日はありがとう。」



「ん…あぁ、気にするな。あれぐらい。
体調はどうだ?寒くないか??
びしょ濡れで帰ったからな。
しかも眠ってるし…着替えや風呂困ったよ…」



私はそう言われて自分の服を見る。



着替えてる。



パジャマに…



誰が…?



も、もしかして…


「奥様だよ。
俺がやるわけねぇだろ!」



「あっ、お母様か…」



少し安心する。



「それで、あのTシャツどうしたんだ?それに制服も。」



「それは…」



Tシャツは絢斗君の…



そう言おうか迷う。



そう言ったらきっと絢斗君と何かあったとバレてしまう。



制服は…



あれ、制服…



忘れて来た…



絢斗君の家に…



私はそのまま固まってしまう。



「…まぁ、今日は学校休むぞ。
疲れてそうだしな。」



「ありがとう」



今はまだ絢斗君に会いたくない。



だから、学校が休めるのは嬉しい。



「アヤメ…何かあるなら言え。
1人で抱え込むな。
一応これでも俺はおまえの幼馴染で、執事なんだからよ。」



秋人のその優しい言葉に甘えたくなる。



けれど、私もちゃんとしないといけない。



その気持ちの方が強くて、やはり言うことはできなかった。



「あのさ、秋人は…」



「まて、たったまま話すのもなんだ。
ほら、座れよ。何か入れるから。」



「……うん」


私は秋人の部屋に入って椅子に座る。



「うわっ、切らしてた…普通のお茶でいいか?」



「うん、なんでもいいよ。」



「悪りぃな」



コポコポとお茶を入れる音がするだけで、会話はない。



秋人がお茶を運んできて、椅子に座る。



「で、なんだ?」



「えっと、その…秋人は、ナイスボディの女性…好き?」



「ブフォッ…」


お茶を飲んでいた秋人はあたかも漫画のように吹き出す。



「なっ、何聞いてんだよ!」



「…え?私今なんて言った?!」



完全にボーッとしていて自分でも何を言ったのかわからなかった。



「俺に言えと?」



「え…なんか変なこと言ってたの、私?」



「……は…好きか…って。」



「聞こえない。」



「あぁーもう!
ナイスボディの女性は好きかって聞かれたんだよ!!」



「えっ?!そ、そ、そ、そんなこと聞いてた、私??」



私は恥ずかしくて顔を赤らめる。



何聞いてるんだろう…



でも、実際どうなのか気になる。



「ち、ちなみに…どうなの?」



「まぁ男ならみんな好きだろ。」



ゔっ…



だよね、やっぱり…



秋人もあーゆうお姉さんみたら絢斗君みたいなことしてるよね。



私はつい秋人verで考えて肩を落とす。



『秋人くぅん
んっ……ぁ…♡』


いやぁあぁぁぁぁ



考えたくない…



私は全力で頭を振って耳を塞ぐ。



「でもまぁ、男としてなだけで恋愛対象とかそう言うのとは限らないと思う。」



「そ、そう…」


変なことを聞いてしまったから、何を話せばいいのか分からない上に、また変なこと言った嫌だったのでだまっていることにした。



でも、それはそれでやはり気まずい……



「無意識とは言え、いきなりなんでそんなこと聞いたんだ?」



先に口を開いたのは秋人だった。



「えっと、、、」



どうしよう。



なんて説明すればいいのかわからない。



正直なことを言えばいいのか、それとも…



ううん、秋人に隠し事してもきっとすぐバレるんだし、だった早めに伝えておいた方がいいよね!



私はゆっくりと口を開く。



「実は…」


そして私は昨日の出来事を全て話した。



校舎裏で来るはずのない絢斗君を待って、雨が降ってばったり遭遇したところから、秋人に会うまでのことを全て。



ーーー事細かに。



最後まで秋人はだまって話を聞いてくれた。



話していて改めて自分のバカさ加減に呆れる。



「どうして、いつもこんなんなんだろう…」



悲しくなって再び涙が溢れ出してしまう。



昨日散々泣いたと言うのに、涙は無限に出る。



枯れることがない…



はずかしい、秋人の前でこんな弱い自分を見てるなんて…



止まって欲しいのに、涙はどんどん増えていくばかりだ。




「うわぁぁぁぁんっ」



「泣きたいだけ泣け。
無理に我慢するより、思いっきり泣いた方がすっきりする。
泣き止むまでずっとそばにいてやるから。」



そう言って秋人は私の隣にしゃがみ、頭を優しく撫でてくれる。



どうして…どうして秋人はいつもそんなに優しいの?



どうして、私に優しくするの…?



秋人……



昨日のことで泣いていたはずが、秋人に対して、嬉しくて涙が溢れてきて。