森には恐ろしい魔女が住んでいるから、近付くな。
小さいころから周りのヒトに教えこまれてきたことだが、誰も近寄ってこない場所を探していた僕は、その森に足を踏み入れた。
しかし歩き疲れた上にずっと何も食べていなかったせいで、意識を失ってしまった。
目が覚めると、知らない部屋のベッドの上だった。
「あ、起きた?」
体を起こすと、丁度女の子が部屋に入ってきた。
彼女が持つお盆の上には、水の入ったコップが置かれている。
「あなた、森の中で倒れていたの。覚えてる?」
彼女を警戒しながら頷く。
「どうしてこの森に?」
興味本位で聞いているようには見えなかった。
それどころか、少し寂しそうに感じる。
「みんな近付くなって言っているでしょう?」
「……そう言っているヒトから、逃げてきた」
彼女の目が、同情に変わった気がした。
「どうして?」
「ヒトは自分より能力に優れている亜人を便利に使う。そういう存在だってわかってるけど、限界だった」
そう答えたら、彼女は僕の耳に触れた。
僕は驚いて、彼女の手を叩いた。
「触るな!」
「やっぱり、この耳は本物なのね」
それなのに、彼女は興味深そうにまた手を伸ばそうとした。
僕はベッドの上に立ち上がり、壁に背をつける。
僕の頭には、獣のような耳がついている。
ついでに尻尾もある。
いわゆる、亜人。
小さいころから周りのヒトに教えこまれてきたことだが、誰も近寄ってこない場所を探していた僕は、その森に足を踏み入れた。
しかし歩き疲れた上にずっと何も食べていなかったせいで、意識を失ってしまった。
目が覚めると、知らない部屋のベッドの上だった。
「あ、起きた?」
体を起こすと、丁度女の子が部屋に入ってきた。
彼女が持つお盆の上には、水の入ったコップが置かれている。
「あなた、森の中で倒れていたの。覚えてる?」
彼女を警戒しながら頷く。
「どうしてこの森に?」
興味本位で聞いているようには見えなかった。
それどころか、少し寂しそうに感じる。
「みんな近付くなって言っているでしょう?」
「……そう言っているヒトから、逃げてきた」
彼女の目が、同情に変わった気がした。
「どうして?」
「ヒトは自分より能力に優れている亜人を便利に使う。そういう存在だってわかってるけど、限界だった」
そう答えたら、彼女は僕の耳に触れた。
僕は驚いて、彼女の手を叩いた。
「触るな!」
「やっぱり、この耳は本物なのね」
それなのに、彼女は興味深そうにまた手を伸ばそうとした。
僕はベッドの上に立ち上がり、壁に背をつける。
僕の頭には、獣のような耳がついている。
ついでに尻尾もある。
いわゆる、亜人。