くすっ

穏やかな寝息を立てる君を見つめ、思わず、笑みがこぼれる。

ほんの4時間前、嬉しそうに涙をこぼした君は、今、俺の腕の中にいる。

でも、10年後、もしかしたら、俺たちはこんな風に寄り添いあって眠っていないかもしれない。

そう、俺たちの間には、愛おしいと思える新たな家族が2人くらい増えてるはずだから。

それでも、俺が君を愛しいと思う気持ちは変わらないし、君もそうだと嬉しいと思う。

そしていつか、その子たちが自立したら、俺はまた、君をこの腕の中に取り戻そうと思う。

だから、由貴(ゆき)……

幸せになろうな。


俺は、そんなことを思い、彼女の左手にそっと触れる。

その薬指には、4時間前にプレゼントしたばかりの永遠の約束が、常夜灯のわずかな光を受けて輝いていた。



─── Fin. ───


この作品は『幸せな夜明け』と対になってます。
ぜひそちらもご覧ください。

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この作品は、コンテスト当日14時に発表されたテーマ《10年前/10年後のキミへ》を元に、当日深夜までに1000字以内のSSを投稿するというスピード勝負のコンテストに応募した作品です。