次の日、学校が終わる時間を見計らって彼に電話を入れました。


携帯の番号は、前夜アキちゃんから既に聞いてありました。


「話したいことがあるんだけど、今から少しいいかな?」
予定を尋ねると、彼は妙な場所を待ち合わせに指定しました。


近くを流れる川のほとりです。


午後4時ごろ、あとを妻に任せて私は店を出ました。


店から待ち合わせ場所まではすぐです。
2つある信号に引っ掛からなければ15分もあれば十分でしょう。


河原を舞う風は街の中のものよりも勢いがあるだけでなく、冷たい川面を撫でるように吹いてくるからかひんやりとしています。


川を右手に見ながら両手をポケットに突っ込んだまま堤防の道を進むと、前方から緩やかなエンジン音をたてながら軽トラが近づいてきます。
幌をしょった車体の向こうに彼の姿を見つけました。