「なら俺もする」
 「え?」
 一瞬言っている意味がわからなくなった。
 俺もする?
 一体何を。
 私も連音さんも龍羽も唖然としている中、瀬戸悠理はスタスタとベッドのほうに歩いてくる。
 「え、何するの?」
 「‥‥‥‥‥‥」
 無視かよ!
 瀬戸悠理はそのままベッドに座った。
 ギシ、と1人分ベッドが沈む。
 「おい悠理、何してんだ?」
 龍羽も混乱したかのように声を上げる。
 瀬戸悠理は龍羽にも返事をしないで、私と背中合わせになるように私の背中にもたれた。
 え、本当に何してるの?
 「瀬戸悠理?」
 「リラックスリラックス」
 瀬戸悠理はさっき連音さんが私に言った言葉を繰り返す。
 というか、瀬戸悠理がリラックスしすぎなの!
 アンタはもうちょい緊張感というものを持った方がいい!
 ‥‥‥はあ、なんか力が抜けた。
 思わぬ人物の登場に私の緊張もほどけた。
 「あ、今の表情いい。そのままこっち向いて」
 カシャ、カシャカシャ。
 やった!
 やっと褒めてもらえた!
 心の中でガッツポーズをする。
 「はい、そのまま真紘カメラから視線外して。悠理は真紘に背預けたまま目を閉じて寝ているようにして」
 言われた通りにする。
 「うん、ok。悠理、ありがとうね。じゃあ次真紘、一人で撮ってみよう。NEW FACEのポスター用の写真もいるからね」
 そこまで連音さんが言うと、瀬戸悠理はスタジオから出て行った。
 恐らくまた寝るのだろう。
 「はい、そのまま目線こっち。次は寝転がってみようか。そうそう、そのまま後ろに倒れる感じで。額に手の甲当ててみて。はい次は体ごと正面みようか。最後は‥‥‥そうだな、難しいかもしれないけど色気含ませてみて。そう、いいね、すごくいい。はいok。今日の真紘の撮影はここまでにしようか」
 そこまでで撮影が終わる。
 「ありがとうございました!」
 「うん、お疲れ様。今日は真紘の歓迎会するから帰らずに待っといてね」
 「え!」
 連音さんの言葉を聞いて思わずびっくりする。
 「歓迎会なんてしてくれるんですか!?」
 「うん、毎回恒例。たこ焼きパーティーだよ。そのために香と千晴に買い出し行ってもらったんだよ」
 「そんな‥‥‥いいんですか?」
 「もちろん。じゃあ、着替えて待っててね」
 「はい!」

 心なしか、足取り軽くスタジオとなっている部屋を出る。
 後ろから龍羽もついてきた。