「あの‥‥‥!!私ずっと前から柳井さんのことが好きでした‥‥‥!!だからっ、私と付き合って下さい‥‥‥!!」
そう言ってくる目の前の女子を見ているとため息をつきたくなる。
これで何回目だろう、告白されるのは。
「ごめんね、ありがとう。私を好いてくれて」
「じゃあ‥‥‥!!」
嬉しそうにこちらを見上げる女子を哀れだなぁ、と思いながら見る。
何でOKしてくれると思うのか。
理解に苦しむ。
「でも私、一応“女”だし‥‥‥。同性愛とかではないんだ。だから‥‥‥」
女という言葉をわざと強調して言う。
「柳井さんが女だってことは百も承知です!でも柳井さんってイケメンじゃないですか‥‥‥!だから‥‥‥!」
なおも食い下がる女がいい加減ウザくなる。
やんわりと断っていることに気付いてないのか。
「本当に無理なんだ。ごめん。これからは友達として仲良く‥‥‥」
「‥‥‥最っ低!」
うなるような声で聞こえた言葉にはぁ?となる。
最低?誰が?
と思った直後、ーバチン!!と乾いた音が体育館裏に響いた。
「‥‥‥はぁ?」
自分がビンタされたということに対して訳がわからない、という感情が口から言葉になって漏れる。
ー痛ぇよ、オイ。
口の中にじわっと血の味が広がる。
その後に、鋭い痛みが走る。
何で私が怪我しなきゃいけないんだ?
目の前の女に、一言言おうと思って顔を上げる。
そこにはもう名前も言わずに告ってきた女子の姿は無かった。
「ハァァ‥‥‥!!ふざけんなよ‥‥‥!!」
イライラをぶつけるように机をだん!と叩く。
「おお真紘、裏出てるよ、ブラック降臨してるよ」
親友であり、この学校で唯一本当の私を知っている私の理解者で、幼なじみの宮代日葵に言われて、初めて私の仮面が剥がれていたことに気づく。
「柳井さん、大丈夫?」
クラスの子が心配そうな目で、こちらを見てくる。
ええと、この子の名前は何だっけ?
「大丈夫だよ、山崎さん。心配してくれてありがとう。騒いじゃってごめんね?」
剥がれていた仮面を元に戻し、ニコリと効果音が聞こえそうな笑顔で返事をする。
するとその子は顔を赤らめて、教室から出て行った。
バイバイ、と手を振る。
そんな茶番を見ていた日葵が「で?」と口を開いた。
「何?」
そんな主語も述語もない問いで話が進む訳ないだろ。
「今日は何があったの?いつもより荒れてるじゃん」
「ああ、実は‥‥‥」
「何それ理不尽!」
事の転末を親友に説明すると、親友は自分の事のように怒ってくれた。
「だよね」
怒ってくれる日葵に頷きながらコーラ味の飴を一つ口の中に放り込む。
「真紘、私にも一つ」
そう言われて、日葵にも飴を渡す。
「そんなん告られてもこっちが知るか!って話だし。何で恋愛対象でもない女子と付き合わないといけない訳?それで最低って何!?そんなの最低なのは向こうでしょうが!」
今度は日葵にしか聞こえないように小声で愚痴をこぼす。
本当の私を公にすると、後々面倒くさい。
「男と男の恋なら漫画とかであるけど、どうして女と女はないんだろうね〜?」
「そんな呑気なこと言わないでよ」
実際にはあるし。
私がそれがあることを知ってることはノータッチで。
やましいことなんて決してありませんから。
私があげた飴を舐めている親友に向かって言う。
「こっちは好きになられてもその気持ちに応えられるわけじゃないし。ましてや今日みたいにビンタされるとか。あー痛い‥‥‥」
思い出したらまたイライラしてきた。
イライラを抑えるように、飴をガリッと噛み砕く。
「真紘、飴もったいないよう‥‥‥」
「どうせ、日葵みたいな美少女で彼氏持ちには分かりませんよーだ」
「あら褒めてくれるの?ありがとう」
「褒めてない」
おどけた顔で言う日葵に言い放つ。
そして顔を見合わせて互いに吹き出す。
そう言ってくる目の前の女子を見ているとため息をつきたくなる。
これで何回目だろう、告白されるのは。
「ごめんね、ありがとう。私を好いてくれて」
「じゃあ‥‥‥!!」
嬉しそうにこちらを見上げる女子を哀れだなぁ、と思いながら見る。
何でOKしてくれると思うのか。
理解に苦しむ。
「でも私、一応“女”だし‥‥‥。同性愛とかではないんだ。だから‥‥‥」
女という言葉をわざと強調して言う。
「柳井さんが女だってことは百も承知です!でも柳井さんってイケメンじゃないですか‥‥‥!だから‥‥‥!」
なおも食い下がる女がいい加減ウザくなる。
やんわりと断っていることに気付いてないのか。
「本当に無理なんだ。ごめん。これからは友達として仲良く‥‥‥」
「‥‥‥最っ低!」
うなるような声で聞こえた言葉にはぁ?となる。
最低?誰が?
と思った直後、ーバチン!!と乾いた音が体育館裏に響いた。
「‥‥‥はぁ?」
自分がビンタされたということに対して訳がわからない、という感情が口から言葉になって漏れる。
ー痛ぇよ、オイ。
口の中にじわっと血の味が広がる。
その後に、鋭い痛みが走る。
何で私が怪我しなきゃいけないんだ?
目の前の女に、一言言おうと思って顔を上げる。
そこにはもう名前も言わずに告ってきた女子の姿は無かった。
「ハァァ‥‥‥!!ふざけんなよ‥‥‥!!」
イライラをぶつけるように机をだん!と叩く。
「おお真紘、裏出てるよ、ブラック降臨してるよ」
親友であり、この学校で唯一本当の私を知っている私の理解者で、幼なじみの宮代日葵に言われて、初めて私の仮面が剥がれていたことに気づく。
「柳井さん、大丈夫?」
クラスの子が心配そうな目で、こちらを見てくる。
ええと、この子の名前は何だっけ?
「大丈夫だよ、山崎さん。心配してくれてありがとう。騒いじゃってごめんね?」
剥がれていた仮面を元に戻し、ニコリと効果音が聞こえそうな笑顔で返事をする。
するとその子は顔を赤らめて、教室から出て行った。
バイバイ、と手を振る。
そんな茶番を見ていた日葵が「で?」と口を開いた。
「何?」
そんな主語も述語もない問いで話が進む訳ないだろ。
「今日は何があったの?いつもより荒れてるじゃん」
「ああ、実は‥‥‥」
「何それ理不尽!」
事の転末を親友に説明すると、親友は自分の事のように怒ってくれた。
「だよね」
怒ってくれる日葵に頷きながらコーラ味の飴を一つ口の中に放り込む。
「真紘、私にも一つ」
そう言われて、日葵にも飴を渡す。
「そんなん告られてもこっちが知るか!って話だし。何で恋愛対象でもない女子と付き合わないといけない訳?それで最低って何!?そんなの最低なのは向こうでしょうが!」
今度は日葵にしか聞こえないように小声で愚痴をこぼす。
本当の私を公にすると、後々面倒くさい。
「男と男の恋なら漫画とかであるけど、どうして女と女はないんだろうね〜?」
「そんな呑気なこと言わないでよ」
実際にはあるし。
私がそれがあることを知ってることはノータッチで。
やましいことなんて決してありませんから。
私があげた飴を舐めている親友に向かって言う。
「こっちは好きになられてもその気持ちに応えられるわけじゃないし。ましてや今日みたいにビンタされるとか。あー痛い‥‥‥」
思い出したらまたイライラしてきた。
イライラを抑えるように、飴をガリッと噛み砕く。
「真紘、飴もったいないよう‥‥‥」
「どうせ、日葵みたいな美少女で彼氏持ちには分かりませんよーだ」
「あら褒めてくれるの?ありがとう」
「褒めてない」
おどけた顔で言う日葵に言い放つ。
そして顔を見合わせて互いに吹き出す。