「綺麗なイザベラ」
「ごめんなさい」
「謝らないで」
「だけど」

 言葉を封じ込めるようにもう一度キスをする。

 こんな時に名前を呼んだ女は貴女たった一人だと告げたら信じてもらえるだろうか。

 きっと、なにを言っても信じないだろう。契約の延長と、そう思うに違いない。
 だったら、もう言葉なんかいらない。

 首まで止めれらたボタンを、唇で外した。イザベラは小さく体をこわばらせて息を詰める。
 怖がらせないように優しく背中を撫でる。
 深く吐き出された吐息。
 これ以上触れてしまったら、イザベラは元には戻れない。オレもきっと元には戻れないだろう。

 覚悟を決めて素肌に触れる。

 丁寧に優しく、言葉にならない言葉を肌越しに沁みこませる。

 今は無理かもしれないけれど。
 いつか、この想いに気が付いてくれますように。