「あなたが好きです」
「ええ、知っていてよ、ジャン」

 口先だけで笑って微塵も信じていない。顔を赤らめることすらない。
 イザベラの顎にそっと指を添えて、少し強引にオレの目と合わせる。
 黒い瞳。宇宙のように深い色。その奥に輝く小さな星。

 ここまでしても、顔色が変わらない、何をされるかわかってない。

「あなたが、好きです。ご主人様としてではなく、貴女が好きです」

 自覚させるように言い聞かせる。わかって欲しい。伝わって欲しい。

 動揺したように、宇宙の中の星が揺らめく。
 ああやっぱり綺麗だ。手に入れたい。オレのものにしたい。こんな風に心をさざめかせる様を、誰にも見せたくなんかない。

「キスをしてもいいですか?」

 例えばそれが仮初でも。ただ性奴隷(どうぐ)として利用されるだけだとしても。それでも良いからこの人の初めての体験を奪いたい。

 ようやくイザベラは顔を赤らめた。