「オレが信じられませんか?」
「そうではないけれど」
「性奴隷だから?」

 出会い方が違ったら、オレの身分が貴族だったら、イザベラはオレの言葉に耳を傾けたのだろうか。

「貴方は優しすぎるから、私の耳に甘い言葉をくれるのでしょう? それが仕事だもの」

 柔らかく微笑むのになぜか悲しい。

「信じたいことを信じて、裏切られたら悲しいわ。……神様も結局、お救いくださいませんでした」

 最後の言葉は固く本の上に落ちた。

「好きです」

 信じられないとわかっていても。

 イザベラは顔さえ上げない。