「僕、欲しい本をたくさん見つけたの」
「まぁ、良かったわね」
「叔母さまは?」
「叔母さまも見つけました」

 イザベラはニッコリと笑って見せる。

「お包みしますね。少しこちらでお待ちください」

 本屋の娘がにっこりと笑い、ごく自然に応接セットへイザベラとセシリオを案内した。
 マルチェロはあからさまに舌打ちをする。
 それにイザベラは肩を震わせた。

「叔母さま?」

 セシリオがぎゅっとイザベラの手を握った。
 イザベラはセシリオの手を握り返して、小さく微笑んだ。