オレもマルチェロも多分同じ理由で、息を飲んだ。
 この瞳をもっと濡らしてみたいという加虐心が顔を出す。その反対にこれ以上傷付けてはいけないと理性が袖を引く。

 美しい、そう思わずにいられない。

「叔母さま? 本は見つかりましたか?」

 セシリオが屈託のない声で笑いかけた。
 その後ろで本屋の娘が不安そうにしている。きっと異変を察して、来てくれたのだ。

 マルチェロはセシリオににっこりと笑って見せた。

「久しぶりだね、セシリオ」
「こんにちは」

 セシリオはあっさりと挨拶をして、イザベラに駆け寄った。