「イザベラ様、店までお出ましとは……」

 店の店主らしき男が頭を下げた。

「セシリオも自分で選びたいと言い出しましたので」
「お坊ちゃまもそんなお年ですか。イザベラ様が初めてこちらに見えた時も、ほんの小さな頃でしたからね」
「懐かしいわね」

 なじみの店らしく、イザベラはリラックスしたように受け答えしていた。

「叔母さまは何色?」

 セシリオが、ブリキの入れ物を眺めながら訪ねた。

「私は白よ」
「白」
「あなたのお父様は黒でした。あなたは何色が好き?」
「緑色!」

 セシリオはイザベラのワンピースと同じ鮮やかな緑を指さした。