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 初めて習った言葉が、『絶望的』だという意味なんて、あまりにもオレらしくて今思えば笑えてしまう。

 印刷屋で出た裏紙に『ドアの釘ほど死んだ』と書いてみる。

 そして、あの人の名前。このガラスペンのイニシャル、イザベラ。

 最後に『会いたい』。そう書いて、今日の三つの言葉を終えた。

 イザベラの言ったとおり、十日間繰り返すことで三つの言葉を書くことが習慣になった。
 イザベラがいなくても、オレは毎日繰り返す。
 そしてあの日を思い出すのだ。


 イザベラに会いたい。またあの日をなぞりたい。

 絶望的な願いは、捨てられるはずの紙に紫の文字で刻み込まれた。