次々と溢れてくる雫は、止まりそうになくて。



人差し指の背で拭えば、冷たい涙が指に触れて、濡れた。



「バカみたい」



なんで、悲劇のヒロインぶってるんだろう。



全部、自分が招いたことなのに。



……でも。



「ずっと、秋の隣にいたかった……っ」



いたずらっ子のような瞳で笑ってる姿も夜の電話のときにだけ聞ける低くて甘い声もいつだって笑顔にさせてくれるその温かさも……、全部全部、本当に大好きだった。



好きの気持ちなら、誰にも負けない自信があるのに。



秋のことを一番理解している自信だってあるのに。



どうして私は、彼の隣に並べなかったんだろう。



どうして私は、こんなにも臆病な性格なんだろう。



どうして、もっと早く行動しなかったんだろう。