「じゃあ、リンネ。君が話せる範囲でレオの腕の文字のこと、教えてくれるかな。裏付けは僕がとろう。ただ……君が信用できる人だというなら、その人にも助力をお願いしてほしい」

「うん。話してみる」

 そうして私は、レオの二の腕に刻まれたものが呪いの術式で、時間をかけて魔法陣を形成してくものだと伝えた。

「……お前が立てた仮説、大体あってるじゃないか」

 レオがクロードに促し、「当たってほしくなかったけどね」とクロードが請け負う。

「魔法陣を描くことはだいぶ前から分かっていたから、それについては調べてある。召喚魔法とか、転移魔法に使うものらしいんだよね。だから最悪、レオの魂を転移させるのかと思っていたんだけど。悪魔を呼び出すとは、もっと最悪があったな」

 悪魔と言われても、魔術が広まっていないハルティーリアではいまいちピンとこない。
 ただ、おとぎ話には天使と悪魔の話があって、悪魔は人間を常闇の世界へ連れていく存在だと言われている。

「リンネ、回避方法を、その人は知っているの?」

 そう言われてはっとする。そういえばローレンは、呪いが解けるって言っていた気がする。
だったら悪魔は呼び出されない? ああもう、もっと詳しく聞けばよかった。

 レオが死ぬかもって思って動転して、ローレンを放ってきてしまったんだ。

「もしかしたら知っているのかな。……詳しくは分からない。もっとちゃんと聞いてから話せばよかった。ごめんなさい」

 ああ、私の馬鹿。中途半端な情報で、レオもクロードも振り回してしまった。自分の死が決まっているなんて言われたら、レオだって辛いに決まっているのに。