いつまでも痛む刺青って一体何なんだろう。私には全く思いつかない。
 どうしよう。なにかいい改善方法はないかな。
 腕もみしながら考えてみて、私に思いつくことはひとつしかなかった。

「じゃあさ、やっぱりトレーニングしようよ。体力つけておけばさ、何が起こっても持ちこたえられるでしょう? それなら私も力になれるし」

 私は意気込んで立ち上がった。そうだよ。呪術とか魔術とか、全然分からないもん。そっち関係はクロードにお任せしよう。私は私にできること――体を鍛えることならできる。

「ね、走ろ」

「おい、ちょっと待て。さっき走り終えたばかりだろうが」

「まだいけるよ。クロード、ちょっと走ってくるね」

 私は強引にレオを連れ出し、城の内周を三週走った。衛兵さんたちはまたかと呆れた顔をして、抜きつ抜かれつの私たちを見ている。

「もう無理だ!」

 先に音を上げたのはレオの方だ。せっかく着替えたのにまた汗だくになってしまって、地面に座り込んで息を荒くしている。

「私も、さすがに無理かな」

 隣に座って、荒くなった呼吸を整える。

「でもスッキリしない? 私、悩んだときは走ることにしてるんだ。頭からっぽになるし。悩んでいても私にできることなんてたかが知れてるじゃない? だったら余計なこと考える余裕ないくらい走っていたほうが気持ちいい」

 息は苦しいけれど、頭が空っぽになる。疲れ果てて転がって、見上げれば青い空がある。
 何が解決したわけでもないのに、気分はいい。