式が終わると、卒業パーティが催される。

 主役は卒業生たちなので、在校生である私達は適当に誘ってくる相手と踊ったり食事をしたりしていればいい。この料理がおいしいので、ひと月前から楽しみにしていた。

「リンネ。踊ってくれるか?」

 だが、早々にレオが誘いに来てしまったので、私は目の前の食事に別れを告げねばならなくなった。
 少し膨れていると、「なにを怒っている」と頭上から声がした。
 もう他の令嬢とだって踊れるはずなのに、レオは今も適当に理由をつけて私としか踊らない。
 結果、私はずっとレオと踊ることになるので、彼とのダンスは慣れたものだ。呼吸するように踊ることができる。

「べーつにー。ただ、狙ってた蒸し鶏を食べ損ねたってだけ」

「また食い物か。後でいくらでも食わせてやる。先に学園の男たちに見せつけてやらねばならないからな」

「なにを」

「おまえが、俺のものだということだ」

 微笑まれるのと同時に腰をと引き寄せられ、レオが私の額にキスをした。
 周りからざわめきが生まれるものの、レオは何食わぬ顔でまた踊りだす。
 なんてことをしてくれるのだ。こんな……こっぱずかしい。