光は物心ついた頃から両親に虐待を受けていた。毎日のように暴力を振るわれ、食事を用意してもらえず、髪も服もいつもボロボロの状態だった。

「あんたなんか、産まなきゃよかった!」

「お前なんてな、いてもいなくても変わらないんだよ!」

そんな風に存在を否定され続け、光はいつも俯いていた。学校ではみすぼらしい光はいじめられ、先生も助けてくれなかった。

そんな日々を過ごしたせいか、光は自分などいなくなってもいいと思うようになってしまった。いつ死んでもいい、殺されたい、そんな風に考えて親からの暴力に抵抗することもなくなった。

しかし光が高校生の時、保健室にいた養護の先生にいじめられていることがバレてしまう。話を聞いてもらううちに、光は両親のことも話してしまっていた。

「私なんか、いなくていいんです。だからこのまま死なせてください」

そう言った光は、先生に強く抱き締められる。そして「ごめんね、気付いてあげられなくて」と何度も謝られた。初めての体温に光は戸惑ってしまう。