「高1のとき、無理矢理だったけど、俺ら一応付き合ってたじゃん?」

「…うん」

「付き合ってたくせにちゃんとした別れ話しもできないまま、何年も経って…」

「……」

「だからって今も付き合ってるとか、思ってるわけじゃないけど。でもいつも気になってた。あんな別れ方になって、最低だよなって」

「それは、私が勝手にいなくなったから、」

「でも、好きだって言ったのは俺のほうだし、ガキだったけどガキなりに真剣だったから。別れの言葉も言えてないままじゃ、やっぱ気持ち悪いっつーか、…引きずっちゃうっつーか」

「、…」

「ごめん、俺がすっきりしたいだけ。あのときの俺とお前の関係を、改めてちゃんと終わらせたいだけ」


メガネの奥の澄んだ目を、じっと見てたいら……

名前を、呼ばれた。



「ハナエ」

「、…」



名前を呼んだあと、若瀬くんは、

少しだけ、笑った……



「好きだって言ったのに、ごめん。辛いとき、一緒にいてやれなくてごめん。彼氏だったのに、なんの役にも立てなくてごめん」

「、」

「すげぇ好きだったのに、俺が弱かったせいで、ガキだったせいで、ずっと1人にして……ごめん」