「陽菜が俺らを解放してないんじゃなくて、今はきっと、俺らが陽菜を解放してないんじゃないかって」
「、…」
「俺らが陽菜を自由にしてやんなきゃ、俺らきっと、永遠にこのままなんじゃねーかなって」
解放……
ねぇ陽菜。
いつの間にか、私が、私たちが陽菜のことを縛っていたの?
離れないように、消えないように、陽菜のことを縛り付けていたのは私たち?
いつの間にか私たちは、
陽菜に依存していたの…?
1時間くらい話をして、カフェを出た。
若瀬くんとフラフラ歩く、夜の道。
なにも喋らない空間が、痛くて怖くて重苦しい。
だけど若瀬くんとのこの時間は、懐かしくて温かくもある。
陽菜や柏木くんや律くんとは違う。
高校1年生だったあの頃を振り返るとき、唯一温かい気持ちになれるのが、若瀬くんとの思い出だから……