ドン 柳瀬くんが台を持つ。 ゆっくりと近づいてくる整った顔。 「あー。汗かいてなきゃもう抱きしめてたのに」 「え?」 「鈴村。あと30分くらいで部活終わると思うか ら一緒に帰ろ」 「わ、わかった!」 柳瀬くんはカウンターから体を起こして時計を確認する。 「やべっじゃあ俺戻るわ!」 濡れた髪を揺らしながら図書室を後にする柳瀬くん。 「頑張って」 誰もいない図書室に私の小さな声が響いた。