【ガラガラ】




いつもと同じように台の上に肩から上の柳瀬くんの姿が見える。





いつもと同じようにそっと柳瀬くんの後ろを通って自分のパイプ椅子に座る。





ギィィィィって音が今日も図書室中に響き渡る。





リュックから英語のノートを取り出して宿題を始める。





あれ?なんで?なんで紙が濡れてくの?





天気、すごくいいのにっ





「鈴村。おいで」





あ、私泣いてる。もう我慢できない!






わたしは柳瀬くんの胸に大人しく抱かれる。






その勢いでパイプ椅子が勢いよく傾く。





2人で地面に落ちる。





それでも柳瀬くんは私を離さなかった。





台に隠れる私たち2人。





誰からも見えない2人の世界。





柳瀬くんがいてもどうでもいいやもう泣いちゃえ!





「うぇーん"、、うぇーーん"、」





図書室中に私の可愛くない声が響き渡る。