いや、それでもよく触れるなあ。ハガメンなのかなあ?
「あー、なんか家にあってさ、付けるものないし。とりあえず、?」
「ふーん」
また本に目を移す柳瀬くん。
な、何よ聞いといてその塩対応は!
それからなにも起こらず時間は過ぎて、吹奏楽の音楽が鳴り止む。
部活が終了したということは、私たちもそろそろ帰るのか。
私は窓を閉めて、リュックを持ち上げる。
「鍵は俺が返しとくから先帰っていいよ」
「あ、でも」
「なに?」
なにも変わらない表情で冷たくそういう柳瀬くん。
「いや、なんにもないです。ありがとう。」
それ以上は何も語らず、私はさっさと下校する。
あー、これから毎日のようにあの人と図書室に残るのかあー。
なるならあんなイケメン優等生じゃなくていいから、もっと気楽な男子が良かったなー。
まあ、人生そううまくはいかないよねー。