初めて 会った時から 私は 奏斗に 惹かれていた。


背が高くて 筋肉質な体形。

短い髪を ツンツンと立たせて。


私に 人懐っこい笑顔を 向ける奏斗。


外見に 似合わず 話すと しっかりしていて。

私と 2才しか 違わないことが 意外だった。


付き合うように なったのは 入社2年目の秋。

私が 二級建築士の試験に 合格した後だった。


「町田さん。受かったんだって?おめでとう。お祝いに 食事でもどう?」


その夜 奏斗に 告白されて 私は 笑顔で頷いた。


奏斗は 穏やかで 優しくて。

2人でいるときは 幸せだった。


一緒にいる時間が 増えるほど

どんどん 奏斗を 好きになっていった。


奏斗からも 愛されていたと思う…


私といる時の 奏斗は いつも笑顔で。

私は 奏斗に 大切にされていた。


でも…それは 私の 錯覚かもしれない。


奏斗が 私を 大切に思うなら

カンナさんとの関係を 続けるはずがないから。