[その割に、なんだが元気がないけど?]

 鳥にそう聞かれ、ミレイナは言葉に詰まる。あんな話を聞いて、元気に振る舞えるはずもない。
 部屋から出てきた男に、ミレイナは見覚えがあった。あれは、ミレイナが住む地域──トルカーナ地方一帯を治める領主だ。
 その領主が、明日、和平交渉に見せかけてジェラールを殺してしまおうと言っていたのだから。

(どうにかして、ジェラール陛下に知らせる方法はないかしら?)

 そのとき、ミレイナは鳥達を見てハッとした。彼らに伝言係を頼めばいいのではないだろうか。

[ねえ、お願いがあるの。今日中にラングール国にまでいって、竜王陛下に手紙を届けてほしいの]
[今日中に? それは無理だよ。遠すぎる]
[そんな……]

 ミレイナはせっかく思いついたアイデアが使えないと知り、愕然とした。