「陛下の食べているのと同じ人参がほしいです。ラングール人参!」

 ジェラールがララに与えていたラングール人参は、元々美味なラングール人参の中でも抜きん出て絶品だった。
 ミレイナは人間の姿で働き始めてから何度か賄いご飯に入っていたラングール人参を食べた。しかし、あれほどの味のものには未だかつて出会えていない。きっと、国中のラングール人参の中でも特に上質なものを用意しているに違いない。

「……ラングール人参だと?」
「はい!」

 予想外の品を告げられ、ジェラールは唖然としてミレイナを見返す。

「それをどうするんだ?」
「どうするって、もちろん食べますけど?」
「…………。好物なのか?」
「大・大・大好きです!」

 力強く頷いたミレイナをジェラールは呆気にとられたように見つめていたが、耐えきれない様子で肩を揺らして笑い出した。