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 王宮ではセシリアが、今か今かとクレッグの帰りを待っていた。
 ジェラールがクレッグを抱いて戻ってきたとき、セシリアはクレッグの名前を呼びながら駆け寄ってきた。近くにいたラルフも足早にこちらにやってくる。

「クレッグ!」
「お母様!」

 クレッグも母親に気付いたようで、ジェラールの腕から降りるとタタタと走ってそちらに駆け寄る。セシリアは数時間ぶりに再会した我が子をぎゅうっと抱きしめた。

「どこに行っていたの。心配したのよ」

 セシリアの泣きそうな声に、クレッグは眉尻を下げる。

「ごめんなさい、お母様。上手に飛べるから大丈夫だと思ったんだ」
「お母様よりも、見つけてくれた陛下にお礼を」

 セシリアに促されてクレッグが振り返ったとき、ジェラールは首を横に振った。

「俺ではなく、ミレイナに礼を。クレッグを見つけたのはミレイナだ」
「うん、そうだよ。あのお姉さんが助けにきた」