(気のせいか……)

 ミレイナの頭にウサギのような耳が見えた気がしたのだが、見間違えのようだ。

 そもそも、そんなものが生えた人間など見たことがないし、以前ケープを被っていない姿を見たときにもそんなものはなかった。

「歩けるか?」
「はい。大丈夫です」

 ジェラールの問いかけに、ミレイナはしっかりと頷く。

(疲れがたまっているんだな……)

 ジェラールは小さく首を振ると、クレッグを抱いたまま王宮へと歩き出した。