結局、満足な仲直りはできず、よそよそしい態度を取り続けている私たち。

予定日は刻一刻と迫ってきていて、新たな家族を迎えるというのに、自分の不器用さが嫌になる。

いよいよ臨月に突入した十一月後半の金曜日、勤務の調整で午前休を取ることになった麻那と、久々にランチをしに出かけた。彼女と話せば、いい解決策が浮かぶかもしれない。

本社ビルの近くのカジュアルなイタリアンレストランで、外の色づき始めたイチョウ並木を眺めながら、まったりと話す。


「産休に入って、もう三週間が経つのか。麻那と会うのすごい久しぶりな気がする」
「ほんとだね。もうひとちゃんと社長の痴話事が聞けないから、妄想するしかなくてさ〜」
「やめなさい」


私たちのなにを妄想するというんだ、まったく。

相変わらずのんびりした口調でおかしな発言をする彼女に、顔をしかめる私。でも、やっぱり麻那と一緒にいるのは気楽で楽しい。

お腹が大きくなって胃が圧迫されていた最近は、少しの量で満足していたのだが、今日はなんだかたくさん食べられそう。

ちょっとお腹が張っている気もするけれど、体調はいたって普通だ。