部長はなんとも言えない面持ちでハンドルを切り、抑揚のない声で続ける。
「生活には支障がないくらいの軽度らしいから、こうやって運転もできるし、松岡さんも気づかなかったでしょ。僕も驚いたよ、色弱でデザインに関わる会社の社長をやってるなんて」
気づかなかった……全然、考えもしなかった。瀬在さんが言っていた〝弱い部分〟というのは、身体に関することだったの?
どうして教えてくれなかったんだろう。事情を知っていれば、私ももっとサポートできたはずなのに。
慧さんに対して、切なさともどかしさでいっぱいになる私に、部長はどこか冷たい口調で同情する。
「かわいそうに……なんで君に打ち明けていないんだろうね? 愛しているはずの奥さんなのに、酷いな」
その言葉に捕らえられて、暗い闇夜に引きずり込まれる感覚を覚える。
私は彼に信頼されていないのだと、改めて突きつけられたようで、胸がズキズキと痛みだす。
瀬在さんのおかげで心を照らしてもらえたはずの光は、一気に奪われていった。
「生活には支障がないくらいの軽度らしいから、こうやって運転もできるし、松岡さんも気づかなかったでしょ。僕も驚いたよ、色弱でデザインに関わる会社の社長をやってるなんて」
気づかなかった……全然、考えもしなかった。瀬在さんが言っていた〝弱い部分〟というのは、身体に関することだったの?
どうして教えてくれなかったんだろう。事情を知っていれば、私ももっとサポートできたはずなのに。
慧さんに対して、切なさともどかしさでいっぱいになる私に、部長はどこか冷たい口調で同情する。
「かわいそうに……なんで君に打ち明けていないんだろうね? 愛しているはずの奥さんなのに、酷いな」
その言葉に捕らえられて、暗い闇夜に引きずり込まれる感覚を覚える。
私は彼に信頼されていないのだと、改めて突きつけられたようで、胸がズキズキと痛みだす。
瀬在さんのおかげで心を照らしてもらえたはずの光は、一気に奪われていった。