「浩太は鈍感そうだもんねぇ? サッカー馬鹿だし。ハッキリ告白するまで気がつかないんじゃない?」


蒔絵は呆れた声で言う。


しかし、その言葉にあたしは安堵していた。


自分の気持ちが浩太にバレるなんて、心の準備ができていない。


「敦子、ちゃんと浩太に告白しないの?」


由香里にそう聞かれて、あたしはブンブンと左右に大きく首を振った。


「そ、そんなことできるわけないじゃん!」


「そう? でもさぁ、うちら受験生じゃん?」


由香里の言葉に熱していた気持ちがスッと冷えて行くのを感じる。


突然現実に引き戻された感じだ。


「好きな人と一緒に勉強できたらいいよねぇ?」


由香里は夢見る少女のように頬を緩めて言った。


「そりゃあ、そうなればいいけどさ……」


告白したって必ず成功するとは思えない。