シルビアは押し入れから自分の布団を出して、客人の為に父の布団を出そうとしたが、ネズミに喰われたような跡があって、とても身なりの良い客人に出せるようなものではない…ただでさえ敷布団に寝かせようとしているのにだ…どうしようと頭を悩ませていると横からスウが顔を出した。シルビアの顔を見て心配そうに、
「どうしましたか?」
と尋ねてきた。これは正直に言うしかない。
「さすがにお客様に床で寝ていただくわけにはいかないので、父が生前使っていた布団を敷こうと思ったのですが…ネズミに喰われておりまして…大変申し訳ないのですがわたしの布団を使っていただいても構いませんか?洗濯屋には何度か出しておりますし、汚いものではないと思いますので…」
と目を伏せながらお願いする。なぜか嬉しそうに「構いませんよ!」とスウは即答した。続けて、「構いませんが、シルビアさんはどちらで寝られるのですか?布団は一つしか残ってないですし、一緒に寝ますか?」
というと、ぶんぶんと首を振られてしまった。
「いえ、私は父の布団で…」
食いぎみにここは譲ってはならないとばかりにスウが、
「ネズミに喰われているのでしょう?お嫌じゃなければ一緒に寝ませんか?」
こう言われてしまってはシルビアは断れない。
「…いえ嫌じゃないです。一緒に寝ましょう!」スウは内心ガッツポーズをした。