「八樹、今日なんか容赦なかったな」
「…まあ、しつこかったから」
「いつもならもっとへらへらしてるじゃん」
「なんとなくだよ」
取り残された私たち。
北村くんと片岡くんがそんな会話をする横で、私は片岡くんの放った言葉を思い返していた。
───この女まじで冷血だし俺のことなんか興味ねーの
この女は私のこと。
冷血で、片岡くんになんて興味ない女。
あたってる。客観的に見てもなにも間違っていないーー…はず、なのに。
「嘘、よくないね」
「っ、!」
背後から話しかけてきた日野くんにびくりと肩を揺らす。
気配を消して後ろから話しかけてくるのはやめてほしい。
それに、だ。
「嘘なんてついてないよ」
私は何も嘘はついていない。
私は、“爽やか王子”に興味を示さない冷めた女、なんだから。
そう言うと、日野くんは何故かふっと笑った。