「あ、俺は彼女いるんでそういうの無理です」
北村くんが言う。
さすがだ。彼女への愛が強くてかっこいいと思う。
「…俺は早く帰りたいんで、すいません」
日野くんが言う。
彼もさすがだ。ぜんぜんブレない。
「えー残念。…じゃあ───」
金髪さんとインナーカラーさんの視線が片岡くんにと向けられた。
なんだろう、なんか…もやもやして仕方がない。
片岡くんは頷いてしまうかもしれない。
私には関係のないことだし、
彼がクズであることも承知の上で、
───…断ってほしいと思ってるなんて、言えるわけがないんだ。