けれど、心なしかにやにやしている日野くんには、きっと何を言っても私が強がって片岡くんとの関係を否定しているようにしかきこえないだろう。
はぁ…とため息をついた矢先。
「八樹ー、」
北村くんが、そう言って片岡くんのことを呼んだ。
片岡くんと、逆ナン中の女の人たちの視線が一気に向けられる。
後者の目が、北村くんと日野くんの姿を捉えてギラリと輝いた瞬間を私は見逃さなかった。
「よー、偶然じゃん」
片岡くんがこちらに近づいてくる。あたりまえについてきた女の人たちと目が合った。
…なんか、一瞬だけど睨まれた気がする。
「もしかしてお友達さんですかぁ?」
金髪ギャルさんが言う。
北村くんと日野くんはそろって首を傾げ、だれ?と言いたげな目をしていた。